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柴田 健二; 清水 麻由子; 鈴木 和博
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書,26, p.126 - 131, 2015/03
EPMAを使ったジルコンやゼノタイムの年代測定(CHIME年代測定)は、年代情報と組成情報を同時にもたらすことから、岩石の年代決定のほか、後背地解析における堆積物の供給源を特定するための強力なツールとなり得る。しかしながら、特性X線の相互干渉が、CHIME年代測定に必要なU, Th, Pb含有量の定量を困難にしている。従来、X線の発生源(分析点)、分光結晶、検出器を結ぶローランド円の半径(R)が140mmの分光器を使用して、高波長分解能化で干渉の影響を軽減させてきたが、近年主流となっているR=100mmの高計数率の分光器を用いて短時間で精度の高い定量を試みた。さらに、日本電子(JEOL)製の電界放出型電子線マイクロアナライザ(FE-EPMA)JXA-8530Fを使って、CHIME年代測定への最適化を検討した。なお、本研究は「地質環境長期安定性評価確証技術開発」の一環として実施したものである。
南 雅代*; 高橋 浩*; 荒巻 能史*; 國分 陽子; 伊藤 茂*; 中村 俊夫*
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書,26, p.132 - 137, 2015/03
研究機関による前処理法の違い等による水試料中の溶存無機炭素(DIC)のC分析値のばらつきを比較・検討するため、水試料のC比較プログラム(RICE-W: Radiocarbon Intercomparison on Chemical Experiments, Water series)を立ち上げた。まず、予備的に採取したDIC濃度・塩濃度の異なる水試料(表層海水,温泉水,地下水, NaHCO水溶液)を6機関に配布し、各機関それぞれの化学前処理法によってDIC-C分析を実施し、現在、得られた結果をもとに、RICE-Wプログラムの本格的始動に向けての基礎検証を行いつつある。本稿においては、RICE-Wプログラムの実施状況を簡単にまとめ、特に沈殿法(SrClやBaClを添加して炭酸塩を生成させた後、リン酸を添加してCOを発生させる方法)による結果についてまとめた。その結果、塩濃度の高い水試料に沈殿法を用いた場合、沈殿剤(SrCl, BaCl), pH調整剤(NH, NaOH)によっては、沈殿が生成しにくい場合や、沈殿が生成しても炭素回収率が低い場合、そして現代炭素による汚染を受ける可能性があることが明らかとなり、沈殿法の最適な統一基準を設定する必要性が提示された。
田中 孝幸; 甲 昭二; 木下 尚喜; 関 武雄
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書,22, p.169 - 173, 2011/03
日本原子力研究開発機構青森研究開発センターにある加速器質量分析装置(JAEA-AMS-MUTSU)は、1997年に設置され、放射性炭素については、1999年から定常運転を開始した。放射性炭素測定は、2010年度、1,053試料測定し、定常測定以来、10,342試料測定した。2006年度からは外部利用者が利用可能な供用施設となり、多くの利用者によりさまざまな研究活動に利用されるようになっている。本講演では、JAEA-AMS-MUTSUの現状について報告する。
中村 俊夫*; 田中 孝幸; 甲 昭二; 太田 友子*
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書,21, p.159 - 165, 2010/03
AMSによるC年代測定の研究室間比較研究を名古屋大学と原子力機構で行った。使用した考古学試料は、2種類であり、山梨県韮崎市教育委員会より提供された。1つは、年代既知の炭化米であり、新府城跡から採取された。この試料は、武田勝頼が1582年に、織田・徳川連合軍との戦により、火を放ち落城させた際、炭化した米である。もう一方の試料は、宿尻第二遺跡より採取された桃の種子及びオニグルミの殻の炭化物である。これらの試料での2研究室におけるAMSによるC年代測定の結果は、統計誤差内でよく一致していた。また、年代既知の炭化米の較正年代は、新府城が落城した年代と一致していた。
片山 淳; 亀尾 裕; 中島 幹雄
質量分析, 56(5), p.229 - 234, 2008/10
回転電場と画像検出器を用いた微量同位体測定技術の開発を行った。回転電場は、正6角形に配置された電極に多相正弦波が印加することにより生じさせる。イオンがこの電場に進入すると偏向を受け、渦巻き状の軌跡が画像検出器に観測される。この軌跡の位置情報が到達したイオンのm/zであり、発光強度がイオンの存在量を示す。また、画像検出器をゲート動作させることにより、存在度の大きな同位体の影響を排除することができた。この開発により、Caの微量同位体の計測に必要な7桁レベルのアバンダンス感度が得られた。
伊藤 主税; 原野 英樹
第16回質量分析に関する国際会議, 165 Pages, 2003/00
電子炉で燃料破損が発生した場合、これを早期に検知、破損燃料を同定することは、プラント運転の安全確保において重要である。「もんじゅ」のタギング法では、一次系カバーガスに放出されたタグガスはppbレベル以下まで希釈されるため、10万倍に濃縮してから分析する。本研究では、レーザ共鳴イオン化質量分析法(RIMS)を用いた超高感度な高速炉用FFDLシステムを開発し、さらに、改良を加えて絶対感度を向上させた。そのシステムを用いてカバーガスを模擬した極微量のXe、Krを含む標準Arガスを測定してppbレベルのXe、Krの同位体分析を行い、「もんじゅ」用FFDLとして要求される性能をほぼ満足することを確認した。さらに、「常陽」で実施したインパイルクリープ試験において試料破断時に放出されたタグガスを含む一次系カバーガスを分析して、タグガスの同定に成功した。これらにより、このRIMSシステムは、高速炉のFFDLの信頼性を
南波 秀樹
質量分析, 43(5), p.313 - 322, 1995/00
電子線を用いた排煙処理法に関して、石炭燃焼排煙を例にとり解説すると共に、その基礎的な反応機構、特にその反応の初期におけるイオン-分子反応の役割について詳述する。このイオン-分子反応におけるクラスターイオンの重要性を述べると共に、この過程で生成すると予想されるラジカル種について論じる。主要正イオン種であるHO(HO)、生成可能な正イオン種NH(HO)と主要負イオン種であるO(HO)、生成可能な負イオン種CO、SO(HO)との中和反応からはHOラジカルが生成する。しかしながら、生成可能な負イオン種であるSO(HO)の中和反応からは、OHラジカルが生成すると共に、硫酸ならびにそのアンモニウム塩が直接生成する可能性がある。
小倉 浩一; 柴田 猛順
質量分析, 41(1), p.37 - 45, 1993/00
重金属原子の対称電荷交換断面積は、原子法レーザー同位体分離等で重要な役割を演じる。しかし、原子蒸気を作りにくい重金属原子の実験データは、ほとんどない。ここでは、ガドリニウムの電荷交換断面積を、電荷交換により生成したイオンを計測することによって求めた。ガドリニウムイオンは、ガドリニウム原子を1波長2段階共鳴イオン化するレーザーイオン源を用いて生成した。電荷交換により生成されたイオンは、ファラデーカップを用いて測定した。実験で得られた電荷交換断面積は、これまでの理論の予測値とほとんど一致した。
工藤 博司
質量分析, 41(6), p.317 - 328, 1993/00
Knudsen-effusion質量分析法によりCLi,LiO,LiO,LiS,LiS,LiPなどのポリリチウム化分子の実在を確認し、その解離エネルギー、原子化エネルギー、イオン化ポテンシャルなどの熱力学量を決定した。これらの分子は形式的に9個以上の原子価電子を有し、オクテット則を逸脱する分子として興味が持たれ、超リチウム化分子あるいは超原子価分子とよばれている。その存在は理論的に予測されていたものであるが、一連の実験によりその実在を確認するとともに、熱力学量の実験が理論的予測値に一致することを示し、理論計算の正しいことを証明した。本稿では、実験の詳細について述べるとともに、CLi分子を中心に超原子価分子の結合状態について考察する。
小倉 浩一; 有澤 孝; 柴田 猛順
質量分析, 40(1), p.17 - 23, 1992/02
準安定準位533cmにあるGd原子を光ポンピングを用いて減少させた後、強度の強いパルスレーザーを用いて533cmにあるガドリニウムを光イオン化した。Gd原子の自然存在比は、21.8%であるが、このとき光イオン化したガドリニウムイオンのうち、Gdイオンの存在比は、1%であった。この結果は、光ポンピングによって、特定の同位体の準位密度を減少させた後にイオン化することによって同位体分離が可能であることをはじめて示したものである。
小森 卓二
質量分析, 33(2), p.105 - 113, 1985/00
原子力分野において質量分析がどのように利用されているか、分析化学,原子炉,核定数測定などに関連して,各々の実用例を含めて解説した。
池添 康正; 松岡 伸吾*; 佐藤 章一
質量分析, 32(5), p.449R - 453R, 1984/00
炭酸ガス中で進行するイオン反応を大気圧イオン化質量分析計を用いて調べた。調べた反応系は、1)純CO系,2)CO-CO-O系,3)CO-CO-O系である。1)極微量(0.01ppmの水,炭化水素)によってイオン反応は変化する,2)(O(CO))(CO)で表わされるクラスターイオンが、CO-CO-O系中で安定な主イオンとして存在する,3)このクラスターイオンが炭酸ガスの放射線分解において生成物収率決定に果す役割等について解明,考察を行った。
荒川 和夫; 杉浦 俊男
質量分析, 31(4), p.251 - 257, 1983/00
抄録なし
荒川 和夫; 瀬口 忠男; 杉浦 俊男*
質量分析, 29(3), p.257 - 265, 1981/00
質量分析計を用いて蟻酸の負イオン-分子反応について調べた。質量分析計のイオン源内の圧力を上昇させるとイオン-分子反応によりM/e91のイオンが生成し、このイオンはHCOOイオンと蟻酸の中性分子により HCOO+HCOOHHCOOHCOOHの反応により生成していることを見い出した。この反応には解離共鳴電子捕獲過程と高エネルギー電子過程の二つのプロセスがあり、それぞれの反応速度定数は(6.81.5)10cc/molecule・secと(1.30.5)10cc/molecure・secと求められた。また、高エネルギー電子過程の生成イオンの圧力依存性(みかけ上7次)についても説明した。
杉浦 俊男
質量分析, 27(4), p.217 - 245, 1979/00
負イオンの生成とその性質に関する総説を行った。先ず負イオンの生成過程につき述べ、電子捕獲については解離共鳴電子捕獲についての温度効果等につき述べ、イオン対生成,電荷交換につき述べた。電荷交換では長寿命高励起原子及びイオン化電圧の低い金属と中性粒子の電荷交換での負イオン生成につき概説した。次に電子親和力の説明とその測定方法について説明し、最後に磁場閉じ込め形核融合装置の第二段加熱に使用される中性粒子入射加熱への負イオンの使用につき総説した。なお先の技術情報誌登録No.A-9325の基になった総説であり、No.A-9325は頁数が限られていたため本総説を要約したものである。
田村 修三
質量分析, 23(1), p.49 - 59, 1975/01
表面電離質量分析法によるモリブデンなどの同位体分析精度向上のためにイオン生成量の増加および安定化の方法を検討した。希硫酸溶液(5~100gの測定対象元素を含む)に5~10倍重量のグリセリン(5vv%水溶液、イオン交換で精製)を添加しリボン状フイラメントに塗布後、空気中でタール化し、510-torrの真空度の質量分析計イオンソース内で徐々に加熱して、酸化物試料を炭化あるいは還元することにより、10~10Aの安定なイオン電流(Mo、Hf、Cr)を得ることができた。フィラメント材質としては、モリデブンおよびハフニウムにはレニウムが、クロムにはタンタルが適していた。アルカリ元素は妨害するので除去する必要があった。質量分析用試料の前処理がイオンソース内で行なわれるので、分析所要時間を短縮することができ、本法は日常的な同位体比測定法として有効である。
戸根 弘人
質量分析, 23(1), p.79 - 85, 1975/01
高速中性子による重水濃度の分析に関する研究を行なった。ある容積の重水に高速中性子を照射したとき、重水濃度と重水中の熱中性子量との間に相関関係が存在する。高速中性子源として10mのAm-Beを使用した。実験に使用した重水体積は1l,2lおよび5lであった。実験結果より、重水濃度〔C〕と熱中性子計数値〔N〕との間に次の関係が成立つことがわかった。すなわち、重水濃度が80mol-%以下ではN=Kexp(-PC)が成立し、重水濃度が80mol-%以上ではN=KC+qの関係が成立つ。ここで、K,K,P,q、は定数である。この重水分析法の検出感度は重水体積が5lのとき0.5mol-%であった。また、重水中に中性子吸収断面積の大きなボロンやウランまたは気泡が含まれている場合の分析に与える影響についてもしらべた。
戸根 弘人; 横内 猪一郎; 馬場 治
質量分析, 22(4), p.275 - 280, 1974/04
グラフアイトおよびセラミック断熱材はガスループ内の主要な不純物ガス発生源である。このため、昇温過程におけるガス放出の挙動を知っておくことは、ガス精製系のガス流量の決定や、不純物ガス濃度の変化を推定するためにも重要である。このため、グラフアイトおよびセラミック断熱材から放出されるガス量の過渡変化を、高温度領域について測定した。実験は温度をランプ状およびステップ状に変動させ、グラフアイトおよびセラミック断熱材の脱ガス速度の時間変化をもとめた。この測定によって、温度過渡度の脱ガス速度は次式で表わされることがわかった。S(t)=G・e・t次に、この速度式を用い、昇温時のガスロープ内の不純物ガス濃度の変化を求める式を導いた。
藤沢 銀治; 橋本 均; 岩崎 又衛; 辻村 重男
質量分析, 22(1), p.25 - 34, 1974/01
UFとそれに含まれる不純物の分析を目的として、日立RMU-6L型質量分析計の試料導入系、イオン源、排気系を改造し、質量分析計を試作した。UF、Fに対する特性試験の結果、フッ素処理がUFと反応しやすい系内不純物の除去に有効であること、UFのフラッシングによる再現性が向上し、UF全導入量が1g程度の領域までリザーバー圧力とUFピーク間に良い直線性が得られることを見出した。